こんにちは!
ママ社労士のままてぃーです。
新生活が始まった社会人の方、学生さんも多い時期です。特に新社会人の皆さんは慣れない仕事に四苦八苦、早くGWが来ないかな~と思っている方も多いかも。
今回から「これってどうなの?」と疑問に思うことを考察するシリーズを始めようと思います。
始業前の準備は労働時間?
午前9時始業の会社の場合、多くの人は始業時間前に出社してそれなりに準備を整えて仕事に臨むと思います。
それでは、その準備時間は労働時間なのでしょうか?
労働時間とは
労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間」のことを指します。https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/05/37.html
有名な裁判例が↑のサイトに要約されていますので一度目を通してみてください。
業務に必要不可欠な準備なのか
例えば始業前に危険な業務にあたるための防護具の着用や作業場の清掃、朝礼、体操等が義務づけられている場合、これは労働時間にあたり給与が発生します。
そのため、「始業10分前に朝礼をするので、それまでに準備をすべて済ませるように」などと指示されている場合は労働時間にあたると考えられるので注意が 必要です。
逆に、始業時間に余裕をもって出勤し、上着を会社指定の制服に着替える、自分の仕事用の文房具を準備する、雑談時間というような個人的なことに関しては労働時間に含めないとされています。
ちょっと前までは、若手は早く来て掃除を済ませ始業時間より前でも仕事を始めているという光景も見受けられましたが、労働時間を厳密に見なければならないという空気に変わっている昨今、このような状態が改善されていない職場はリスクが高いと感じます。
※今回、過去の判例から上記の判断をしていますが、労働時間に含むか含まないかはケースバイケースで、裁判でも判断が分かれるところです。今後時代の流れで判断が変わることも考えられるので、自己判断せずに然るべき相談機関にご相談をお願いいたします。
残業はいつを指すの?
一般的に残業時間は定時後の時間を指してますが、「早出残業」というものも存在します。
会社が残業時間にうるさいから、1時間早く出勤して仕事をしよう!というのは立派な残業です。
労基法では労働時間は一日8時間が上限(変形労働時間制等を除く)となっているので、あくまでも「時間数」で見なければいけません。
始業9時、終業18時、休憩1時間の実働8時間の会社勤務を例にとると
- 出勤7時、退勤18時、休憩1時間→10時間勤務(2時間残業)
- 出勤8時、退勤19時、休憩1時間→10時間勤務(2時間残業)
- 出勤9時、退勤20時、休憩一時間→10時間勤務(2時間残業)
3つのケースいずれも2時間残業となります。③しか残業だと思っていない方もいるのでご注意ください。
どう管理するのがオススメか?
そうはいっても、少し早めに出勤して、指示はなくとも早めに仕事を開始したり、上司が始業時間前に仕事の指示を出したりと、心掛けていても労働時間にあたる行為をとることはよくあります。
その都度労働時間に入れるように管理できれば一番いいのですが、なかなか難しいのも現実です。
私が考える管理法はいくつかありますが
1・始業時間後に業務の指示をする徹底
あくまでも始業時間前は業務に関するやり取りをしない。点呼、準備体操や防護具に着替える必要があるならば始業時間後に一斉に行う。
それでは正常な業務が行えないというのであれば、そもそもの始業時間を見直す。
例えば、運輸業で、始業時間にはトラックを出発させないと間に合わないから点呼は出発10分前というのであれば、始業時間を前倒しする必要あり。
2・固定残業時間の導入を検討
固定残業時間を導入することは賛否が分かれますし、私もオススメとまでは言えません。導入してスムーズにいくかもしれないケースとしては
- 殆ど定時で仕事は終わるが、始業時間前から業務を始めている習慣がある
- 始業前の業務は数分~15分程度
- 更衣室から作業場までの距離が長く移動に時間がかかる
- 退勤間際の電話対応が長引くことがある
このように、そこまで長い時間の「残業」ではなく、ちょっとした残業時間が積み重なるような職場であれば、「1か月10時間」など、比較的短い時間の固定残業手当を設定して、ちょっとした残業時間をこの時間数に収めて、残業手当もしっかり払うことでスムーズに仕事をしてもらうということも可能だと思います。
|
まとめ
働くうえでとても大切な労働時間。働く時間は短く、上げる成果は高く、給与もしっかり貰えることが目指すところかと思います。
労働生産性が低いと言われている日本も、重い腰を上げて一体となり労働時間の削減を目指しています。
労働時間の削減は、使用者側は残業代の削減となりメリットがありますが、労働者側としては「生活残業」を行っている人にとっては死活問題かもしれません。
それでも不要な残業は極力減らし、その浮いた費用はさらに従業員に還元できる制度に切り替える、浮いた時間は自身のスキルアップのために使うなど何事もポジティブに捉えていけたらどんどん成長につながるのではないかなと感じます。
それではまた!